「どんな時も身近な人を大切にする、それが自分の生き方であり、会社のビジョンでもあります。」


『家に帰って家族を愛してください』


マザーテレサが1979年に受けたノーベル平和賞授賞式のインタビューで、「世界平和のために私たちはどんなことをしたらいいですか。」という質問の答えである。


世界平和。そう聞くと大きなことをしないと成せないのかなと思ってしまう。


しかし、身近な大切な人を大切にすること、その地道な連鎖で世界は平和になっていく。それを体現しようと挑戦し続ける人がいる。


個人事業主として完全オーダーメイドの誕生日プロデュースを行い、現在は絵本の製作中である灰田大亮である。


灰田大亮(はいだ だいすけ)


株式会社CIRCUS代表取締役。タリキチプロジェクト1期生。個人事業主として完全オーダーメイドの誕生日プロデュースや、個人のための世界に一つのオリジナル絵本を制作。現在は”あなたと一緒に生きていく”絵本の制作やブランディング事業を手掛けている。Twitter@daisukehaida



目の前の人を大切に。世界平和への一歩。



ー現在はどんな事業を行なっていますか?


大亮:今は絵本の制作を行なっています。脚本から編集、絵などゼロから制作しています。


ーどんな内容の絵本ですか?


大亮:とても感動してほしいので、できてからのお楽しみで!


ーどんな人に絵本読んでもらいたいですか?


大亮:20代の社会人に読んでほしいと思ってます。社会人は責任感や義務感とかに動かされてしまい、心が疲弊してしまうようなことが多いなと感じます。もしそんな人が身近にいたら、この絵本をプレゼントしてほしいです。「どれだけ忙しくても、どれだけつらい日々でも、私はあなたの幸せを願っている」と愛を伝えるためにこの絵本を使ってほしいと思います。この本は自分の幸せと向き合えることを目指して製作しています。絵本は自己啓発本より押し付けがましくなく、優しいのが特徴的です。絵本の登場人物と自分を自然と投影し、メタ認知することによって、自分と向き合えるようになってほしいなと考えています。

製作中の絵本


ーなるほど。社会人になるとあまり自分の人生を振り返る機会ってないですもんね。本に込めているメッセージなどはありますか?


大亮:一番伝えたいことは、目の前の人を大切にしてほしいということです。社会に出ると笑いたくないのに、無理に笑ってしまったり、どうしても自分の気持ちを押し殺して働かないといけない場面が多くあり、本当の自分の気持ちに正直になれないことが多いです。

一方で、幼いころからの友人や大学時代の友人などは利害関係なしに本音で語ることが比較的容易になる。「おまえが選んだ選択に後悔がないなら、頑張れ!」みたいな。(笑)

そういう利害関係がない人たちを大切にすることによって、自分の人生が救われたり、自分の幸せな選択に気づけるのかなと思います。


ー大亮さんが目の前の人を大切にすることが重要だと気がついたきっかけはありますか?


大亮:家族の存在が大きいです。「あなたが幸せだったらいい」ということを何度も家族に言われながら育ってきました。その言葉は絵本の中でも使われています。僕自身、サッカーを辞めて受験をした時や、浪人を決断した時などに、家族が「だいすけが幸せならそれでいい」と言ってくれたおかげで、納得感のある幸せな意思決定ができたと感じています。


責任感や義務感で動かされるような関係の人ではなく、あなたが幸せだったらいいと言ってくれるような人を大切にすることで、本当に自分の幸せを選択し、自分の人生のハンドルを握れるのと考えています。


うまくいかない、そんなのは当たり前。



ータリキチプロジェクト一期生ですよね。タリプロでで得たものは何ですか?


※関西・福岡にて起業を志す若者が 2ヶ月間で社会課題解決のための事業立案からプロトタイプの作成までのサポートを行うプログラム。過去1年間で70名ほどが参加し、既に半数以上が起業・投資家からの資金調達・行政からの後援・社内事業の立ち上げなどの実績をあげている。


大亮:タリプロに入る前は個人事業主で誕生日プロデュースを行っていました。タリプロでは自分が行なっている活動がビジネスとしてより広範囲に届けられることがわかったのが大きいです。


あとは起業家としての経験を追体験できることがタリプロのコミュニティにはいって得た大きなものです。僕よりも先に起業した人や、資金調達をした人がコミュニティにはいます。そういう人たちを見て資金調達の難しさや登記の仕方を学びました。

BEYOND2018のピッチプレゼンにて。photo by Toru Harada


ー確かに起業家のリアルタイムでの体験談やネガティブな話などは触れる機会が少ないですよね。


大亮:起業家はマイナスなことをみせないです。人として弱い部分や失敗談などはなかなかSNSには流れてこないです。やはりみんな良いところを見てほしいですからね。

でも、大切なことは資金調達を行なったことよりも、その過程でどんな失敗や成功があったか、過程をシェアすることです。

ワンピースでも敵を倒したシーンより、敵を倒すのにどうやってルフィーが強くなっていくかのほうが見所ありません?(笑) 失敗をシェアすることで誰かが助け舟を出してくれたり、またこれから進もうとしている人への反面教師になることができます。

起業家ってキラキラとしたものと捉えられがちですが、うまくいかないことが99.9%です。僕自身全然うまくいってないですし。(笑)マイナスな報告ができるのはタリプロのいいところだなと思います。


ーうまくいかないほうが多い中で、走り続けられる原動力はなんですか?


大亮:目の前の人を大切にしてきた結果、自分のことを信じてくれる人が増えました。だから、自分のことを信じて走っていける。

友人が「起業辞めたら怒るよ」と言ってくれたり。(笑)もちろん、起業を辞めても味方してくれると思うけど、僕の価値を信じてくれてるのが彼らから伝わってきます。だからこの道を辞めることはないし、数ある選択肢の中からこの道を選ぶことを幸せだと思っています。

ータリキチプロジェクト前は個人事業主として誕生日プロデュースや虐待されている人の相談、タリキチプロジェクトでは花束のアプリを、現在は絵本づくりで様々な事業を行なっていますが、事業が変わった経緯を教えていただきたいです。


大亮:友人にもらった「絶望があらゆる手段で私たちを苦しめるなら、私たちはあらゆる手段で対抗しなくてはならない。」という言葉をいつも胸に留めています。

絶望はどのタイミングでくるかわからないし、人生でしんどいことなんて数えきれない。その絶望に対して僕らは何をしなくてはいけないかと考えた時、こっちもあらゆる手段で戦ってやろうと。

だから手段にはこだわってないです。人に希望を与えること、未来に対してポジティブになること、自分の人生を生きるということに対して、どんな手段をつくすことに対して抵抗感はないです。その時一番自分の中で腑に落ちるものを事業として選んで行なっています。

ーこれから事業を作っていこうと思っている人たちにメッセージを。

大亮:まず事業を作っていくという選択が本当に自分にとって幸せか、自分の人生のハンドルを自分で握れているかを問うことだと思います。

あとはできない理由を考えないこと。そして、目の前の人を大切にすることです。

僕は仕事がどれだけ忙しくても、友人から電話がかかってきたり、悩みを相談されると仕事よりもそっちを優先するように心がけています。目の前の人を大切にする、その連鎖で社会はよりよくなると考えているのに、自分が目の前の人をないがしろにしていたら今の事業をやっている意味がないですからね。

どんな時も身近な人を大切にする、それが自分の生き方であり、会社のビジョンでもあります。


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『身近な人を大切に。』


一見簡単そうに見えるが案外難しい。だから、今でも争いが絶えない。
そんな世界で、彼の事業は人々の心に温かい火を灯すに違いないと感じた。