事業をつくる第一歩は「人を好きになること」。恋する青年の挑戦

人と繋がることが時々怖くなってしまう。

『〇〇大学所属です。』『留学をしていました。』『〇〇会社を経営しています。』

コミュニティに飛び込めば飛び込むほどそこで出会う人たちは、なんだか自分にはない大きなものを持っている。自分も同等に”すごいもの”を持たないと見捨てられる、繋がれない、無意識にそう思ったことはないだろうか。

仲良くなりたい知人でも、想いを寄せる人に対しても。

「どうやって人と繋がればよかったんだっけ?」

繋がることに少し臆病になったあなたにぴったりのコーヒーがある。

『僕と君を繋ぐための曖昧な口実を作る』

同志社大学を休学中の青年、柳田結人がが掲げるブランド、「an excuse,」のコンセプトだ。彼がこのコンセプトに至るまでのストーリーや秘められた想いを聞いてみた。

柳田結人(やなぎだ ゆいと)

1998年 同志社大学商学部在籍。タリキチプロジェクト1期生。現在1年間の休学中。輸入、製造、企画販売までを一貫して行うコーヒーのD2C事業 an excuse,を行なっている。
Twitter:@yuito4514


コーヒーで人と繋がる口実を作る

ーよくTwitterを拝見しています!今日はお話をきくのをとても楽しみにしていました。よろしくお願いします。

柳田結人さん(以下、結人):よろしくお願いします!

ーまず現在行なっている事業に関してお聞きしたいです。

結人:コーヒーを作っています。流行りのD2Cという形で自分で生産地に行き、農園と直契約して日本で加工し、ハーブコーヒーとして売っています。テイスト的にもビジュアル的にも女性が好むものを作りたいという想いがありまして、ブラックでも飲みやすいようローズヒップが入っています。ローズヒップとはビタミンCの爆弾とも呼ばれてまして、体にも良い効果が期待できます。

ー先日結人さんのコーヒーを飲ませていただいたんですが、とても飲みやすかったです!コンセプトの”僕と君を繋ぐ曖昧な口実を作る”にはどういう想いが込められているんですか?

結人:僕と好きだった女性の共通点がコーヒー好きだということで…。素敵なコーヒーを作ってコーヒーを飲みに行こうよとデートに誘いたかったという経験がありました。ですので、an excuse という一つの口実、言い訳ということで事業をやっています。女性が好むものという方針も好きだった女性の好きなものを作りたいという想いがあるからです。

ですので、男性の意見はガン無視してやってます。(笑)

an excuse,のコーヒー

ー女性が好きなものを選ぶにあたって苦戦してことはありますか?

結人:コーヒーってすごく違いがわかりにくい飲み物だと思っています。コーヒーをよく飲む人でもスターバックスとセブンイレブンのコーヒーの違いってあまりわからないかもしれません。人によって全く意見が違うし、その時の気分、環境、感情、焙煎の仕方によって味が変わってしまいます。

しかも僕が売っているのはハーブコーヒーなので、特に事業を進める中で困ったのは、コーヒー関係者から邪道だとか、ビジュアル推しだとか言われたことでした。

ー周りから批判がある中でどうやって自分の事業を推し進めて行きましたか?

結人:ターゲットにしているのが僕らの世代、23~28歳の女性なのですが、彼女たちの意見を重視しました。彼女たちはビジュアル・コンセプトファーストで入ってくれて「可愛い」と言ってもらえ、自信がありました。

また、ビジュアルやコンセプトを押していてもコーヒー豆自体も質が高いものを使用していて、フィリピンで一杯600円くらいで売られているものです(※平均的なコーヒーは数十円)。あと、僕が好きだった女性は絶対このコーヒーが好きだという自信がありました。


タリキチプロジェクトで剥がれた自分自身の鎧

ー結人さんは※タリキチプロジェクト生の1期生ですね。タリキチプロジェクト(以下 タリプロ)では結人さん自身にどういう影響がありました?

※関西・福岡にて起業を志す若者が 2ヶ月間で社会課題解決のための事業立案からプロトタイプの作成までのサポートを行うプログラム。過去1年間で70名ほどが参加し、既に半数以上が起業・投資家からの資金調達・行政からの後援・社内事業の立ち上げなどの実績をあげている。

結人:タリプロは悔しい思いをしたきっかけでした。タリプロに参加した当時はすごくトゲトゲしてまして…。何もない自分を認めるのがとても嫌だったんです。ところが、約2ヶ月という限られた時間の中で、僕はやりたいことがありそうでないな、ということに気がついてしまったんです。上っ面で本当っぽいことを言っていましたが、本心では自分の言葉を信じきれていなかったんです。

多伽さん(taliki代表)に「鎧着てるよね」と言われまして…。全てにおいて当時は未熟でした。それに気付けてよかったです。

タリキチプジェクトの卒業式でもあるBEYOND2018にて。
photo by Toru Harada @maron10ru3

大学生ってインターンや事業作りなど、何かやっていたらいいねと言われることが多いですが、タリプロではちゃんとダメなものはダメと教えてもらいました。また、事業どうこうより、肩書き抜きの一人の人間として向き合ってもらいました。

ータリプロ終わってから今の事業に行き着くまで8ヶ月くらいかかったんですよね。その期間はどんなことをしていましたか?

結人:大学も通ってなかったですし、その時は人間関係が希薄で…。その時に地元の友達から飲みに連れていったりしてとても助けられました。幼馴染や地元の友達は、昔の自分を知っていますし、自分を大きく見せる必要性がなく、自分は自分のままでいいんだと認められた感覚がしました。

ちょうどその時に今の事業のきっかけとなった好きな女性ができて、世界が素晴らしいと思え、生き返りました。(笑)

ー苦しい期間を経て、今事業を行う上で大切にしていることはありますか?

結人:すごく自己中にやることです。昔は社会のためにという思いで活動をしていましたが、今は正直そう思えないです。社会のためになったら嬉しいですが、それが活動のエネルギーの根源ではないです。かっこ悪くともピュアな言葉を吐いて生きていきたいと思っています。

この事業を行う上でのエネルギーの源は、好きな女性に振り向いてほしという、モテたい気持ちからでして…(笑)

今は自分の孤独感や劣等感がクリエーションを生み出していると思っているので、かっこ悪い自分を認めた上でかっこつけずに、かっこよくいきたいです。

僕は寂しいからこの事業をやっています。 an excuse, の仕事を手伝ってくれている友達が好きだからずっと一緒にやっていきたい、とか。この事業は彼らと一緒にいるための口実でもあるんです。

現在、映像クリエイターの塩崎さん(@DuselCap)、Graphic designer の林のりひこさん(@koisuruimaichi)、roasterのたなかかずよしさん(@N0C0ffeeN0life)と事業を形づくっています。

ー自分の居場所=事業を作って友人にも楽しんでもらう、みたいな感じですか?

結人:そうです。僕は大学やコミュニティでもうまくやっていけなかったので、自分で自分の居場所を作っていこうと思いました。僕と人がゆるく繋がる媒体としてコーヒーがあると思っています。

この前開催したポップアップショップもとてもよくて!大学やコミュニティみたいに強い繋がりではなく、コーヒーを媒体にゆるい繋がりができていていて良い空間が創れました。

渋谷のポップアップイベントにてコーヒーを販売。


第一歩は人を好きになること。


ー事業をこれから作ろうとしている人に何かアドバイスをお願いします。

結人:まず人を好きになることです。恋愛的な好きでも、友情的な好きでも、なんでもいいです。世間一般的な承認を求めるより、自分が愛している人間は誰なのか、その人が何が好きなのか、その人が笑顔になるにはどうすればいいかを考えることです。

ファイナンスや起業の仕方みたいな小手先より、まず人を好きになることが最初なのかなと思います。

万人にウケようとしたら、自分がどういう風に生きるかという軸がぶれてしまいます。まずは自分の好きな人のために生きようと軸を確立させることが大切だと思っています。

an excuse, ショップはこちら

ライター:辻野結衣